劇場版ジョジョ第一部観てきました。

少なくとも原作を読んでないと楽しめないことは間違いないので、以下は原作の第1部を読んだことを前提に。
スピードワゴンがいない…。いや、あの声優として参加してる芸人は違うから。


原作の絵柄は良く再現してると思うんですが、原作の空気は再現できてないような感じです。何でだろう。
そもそもジョジョってのは実に漫画的な作品で、他のメディアに落とし込むことが極めて難しいような気がします。
例えば「貧弱、貧弱ゥ」は「ゥ」があるからこそ特別な魔力を持っているのであって、人間の言葉で発音してしまうとサラッと流れてしまう。コォォォォォという呼吸音(?)も独特の書き文字だからこそ力強さが感じられるのであって、現実の音になるとウォーズマンの「コーホー」と大して変わらない。フーフー吹くなら私のためにファンファーレでも吹いて欲しいっての。
だからこそ、ジョジョをゲームに移植する場合は(効果音に加えて)グラフィックでオノマトペを表現することが多い、んだろうと思います(その試みが成功してるかどうかはさておき)。
この映画ではそういった物は使わずに普通に音にしてました。うーん…。


ストーリーの話。
短い尺に落とすために色々とカットされています。スピードワゴンがいないことには、上映後に女性客がなんか愚痴ってました。冷たい女だと思ったけど、それはジョジョを愛するが故の必死さの裏返しなんだろうと思うので、私は何も言わず映画館からクールに去りました。
で、ストーリーを大幅に再構築し、初めの60分ほどを館での決戦まで、残りをDIOとの再戦に当てています。この改変自体は、尺を考えればやむを得ない物として納得できました。ちょっと後半が駆け足過ぎる気もするけど。ブラフォードが一瞬しか出ない…。
物語はディオとジョジョとツェペリの3人が中心になってます。原作に比べてツェペリさんの役割が大きい。


んで、原作のセリフの中でも有名な幾つかは省略されています。まぁ無理してファンサービスで全部入れなくても、例えばディオがエリナの唇を奪うシーンでは観客が勝手に脳内で「さすがディオ!おれたちにでき(ry」と言うので問題ないかなぁとか。


音楽は良かったと思います。オーケストラの普通の映画音楽。
あとこれはアニメ業界全体への感想かもしれませんけど、CGの使い方がこなれてきたなぁと思いました。平成版アラレちゃんみたいな違和感ありまくりな奴ではなく、適材適所で人の描く線と併用されてる。


というわけで。
原作を知らない人には説明不足で理解不能だと思います。んで、原作を知ってる人には、どこが悪いということもないけど普通のアニメになってしまっていて、原作の特別なオーラが失われていて不満が残るんじゃないかと思います。
つまりまぁ、よくある今イチな映画化。
でもこれに懲りずに、luckを期待しPluckをもって蟲師も観に行くつもりだったりする。

ところで上映前の予告編を見てて思ったんだけど、ムシキングとラブアンドベリーは客層が違うから2本立てにするのは間違ってるような気がする。